• Yoji Yoshizawa

Hereford's Cow

禁酒法時代、ミルクにウィスキーを入れて飲めば、衆人環境でも酒が飲めると考えた強者がいたそうです。その名残りか、ブランデーアレキサンダー(クリーム、ブランデー、クレムデカカオ)やソムブレロ(ミルクとカルーア)などは今でもポピュラーです。ニューヨークのバイト先のヴィニーは前述のウィスキーのミルク割りを「ホワイト・キャデラック」と呼んでいました。彼曰く、二日酔いで胃にくることがないとのこと。「お洒落だね」と私が言うと「俺は貧乏人の財布持ちだが、金持ちの舌だからな」とちょっと悲しそうな目をしました。

Hereford's Cowは70年代後期、良く飲みました。度数30パーセントなのですが、うたい文句どおり、アルコールの匂いがしないのです。ヴァニラや、チョコなどのフレーバーがあり、ミルクセーキみたいなもので、これをさらにミルクで割ってのむと甘さが調節されてちょうど良いという感じです。

話は飛びますが、76年にハービー・ハンコックがニューヨークのビーコン・シアターでV.S.O.P.コンサートを演るというので、観に行きました。会場に着くまではマイルスが出るとのことでしたが、当日はマイルスではなく、フレディー・ハバードがトランペットでした。

三部構成のプログラムで、第一部はMaiden Voyageなど伝統的なジャズ、第二部はアフリカ名を名乗って黒人のルーツを模索していた時期のユニット、そして第三部はポール・ジャクソン、レイ・パーカーJr. や ワーワーワトソンなどがメンバーのファンキーなヘッドハンターズの演奏でした。

このコンサートはライブ盤としてリリースされ、事後、日本のフュージョンジャズブームもあり、One Timeであるはずが、何度も演奏することになります。V.S.O.P.クインテットは上記三部のうちの最初のユニットです。

ニューヨーク大停電のあった暑い夏、私はHereford's Cowを飲みつつ、「こんな人たちと演奏できたら、死んでもいいなー」なんて思いながら、アコギでライブアルバムの第三部に合わせて弾いていました。

ヘッドハンターズのポール・ジャクソンにスカウトされ彼のバンドで演奏するようになるのはそれから10年近く経ってのことでした。



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