ボーッと明るくなってきた窓外に目をやっていると一羽の鳥が視界を横切った。急に「如砥如矢」(とのごとしやのごとし)という言葉を思い出す。これは日本海沿い現在の富山と新潟をつなぐ難所である親不知の壁面に刻まれている言葉である。「親不知子不知」と命名された場所は夏は穏やかであるが、冬は日本海が旅人に牙を剥く。引き波のタイミングに合わせて動けということか、「小走り」や「大走り」となずけられたセクションがある。
詩経・小雅から採られたという「如砥如矢」という言葉はこの難所の岸壁を削って出来た道を喜んでのことなのだろうか。喜びの元に先人たちがいかにこのルートで苦労してきたかを思わせる。今は高速道路で数分もかからない距離ではあるが。
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