• Yoji Yoshizawa

私の音楽的ルーツ(31)

78年夏、アメリカに戻り、早速、グレゴリーズでの演奏を再開します。秋になるとバーモントの大学へ。今度はフュージョンバンドを新たに結成し、酒場でのギグをとるようになります。


しかし、勉強したのはコルトレーン。チャーリー・パーカーの「呪縛」と私が呼ぶハーモニーの発想から逃れる動きは、モードジャズというコード「進行」を否定したり、ドミナントモーションの概念を変えて行く方法論に結実するのですが、その前段として、新しいコード進行で多大なるインパクトをジャズシーンに与えたのが「ジャイアント・ステップス」です。この進行では12音を3等分したキーへの転調が斬新でした。本曲では、B、G、Ebの三つのキーへの転調が見られます。


12音を時計の面に当てはめてみると、三つのキーを線でつなぐと綺麗な三角になります。これはそれまでのジャズで取り上げられる楽曲ではあまり見られないもので、例外的にリチャード・ロジャーズの37年作曲の「Have You Met Miss Jones」のサビにあるぐらいです。「Miss Jones」では、Bb、Gb、Dと、ちょうど「ジャイアント・ステップス」の半音下で同じ間隔のキーへと転調していきます。

コルトレーン・チェンジスというものがあるのですが、これはキャノンボール・アダレィとの「Limehouse Blues」でも見られるもので、旧来のドミナント・モーション上で素早く三つのキーを「散歩」するコード進行を想定してアドリブラインを作るということをやっています。アルバム、「ジャイアント・ステップス」では「Countdown」も収録されていますが、これは「Tune Up」という曲のドミナント・モーションをことごとくコルトレーン・チェンジスに置き換えているものです。

この頃は、平行して現代クラシック音楽の方法論を勉強していました。ストラヴィンスキー、バルトーク、シェーンベルグ、ベルグ、ケージ、クセナキスなどを図書館のオーディオ室で聴きまくり、音楽専攻の友人から情報を仕入れたり、まったくポピュラーとは言い難い領域を掘り下げたり、自分で新しい方法論を作ることはできないかと模索したりする日々でした。


0回の閲覧

©2015-2020  Yoji Yoshizawa