• Yoji Yoshizawa

私の音楽的ルーツ(20)

エレキギターを始めて買うのは16歳になってからです。73年に帰国した時に本当に驚かされたのは、同年代の少年たちがお金持ちだったことです。お金持ちというか、イギリスの私たちには手の届かない憧れのギターやアンプを持っていることに驚愕したのです。

夏休み、2時間ぐらいかけて友人ふたりとチャリンコでキングストンの楽器屋へエレキを見に行ったのはStand By Meみたいな情景として記憶に残っています。そう、見るだけなのです、とてもじゃないけど買えないのが当たり前でした。ところが日本では弟の友達が家に遊びに来ると本物のギブソン・レスポールのレッドサンバーストとか持ってくるわけです。

キングストンの楽器屋では、店員がちょっとエレキを弾いてくれました。もう私たちには彼が神に見えました。なにしろロン毛で、クラプトンみたいなディストーションがかった音でチョーキングしたりするんです。興奮して私たちが「ど、ど、どこかのバンドでやってるんですか!?」と聞いた時に彼が見せたバツの悪そうな顔を今でも覚えています。あまり上手な人ではなかったんでしょう。しかし私たちにとっては別世界の超人に見えました。 そういうわけで、私はナイロン弦とスチール弦のアコギを弾いていました。Yesの「こわれもの」が出た時には擦り切れるほどSteve Howeの「Mood for a Day」を聴きこみ、回転スピード落としてコピーして、14歳の時に教会のイベントステージで演奏したのが人前のソロ演奏デビューでした。 今でしたらすぐ弾けるぐらいの難度ですが、当時はこれで精一杯でした。このアルバムの前作「The Yes Album」ではSteve Howeの「Clap」というソロが収録されています。こちらはピックを使ったカントリーピッキングで、本当に一人でやっているのか?と思わせるほど難しく聴こえ、手の打ちようがありませんでした。仕組みが解ってしまえば当時でもなんとかなったかもしれませんが、なにしろ教えてくれる人も、情報もありません。「Mood for a Day」はその点、なんとなくどうやって弾いているか分かった一曲だったのです。


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