ヴェニスを最後に訪れたのは30代後半でした。その時にこの置物を買入。ヴェネツィア・カーニバルでもポピュラーなもので、Medico della peste(ペスト医師)のかぶっていたお面・マスクです。
黒死病がヨーロッパに上陸したのは13世紀半ばです。腺ペストなぞ知る由もないペスト医師たちは、この奇妙な嘴に薬草を詰め、病人を診ていたのです。
芸術分野ではフィレンツェを中心としたトレチェント(300という意味)の時代です。音楽でも中心となったのはフィレンツェ。残念ながらヴェニスのトレチェント音楽はほとんど残されていないようです。
Maestro PieroのMotetを聴きながら、近代医学など夢想すらできなかった時代に生きた人たちを想います。
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