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  • 執筆者の写真Yoji Yoshizawa

今月12日に風邪をひいて後、19日経ちました。その間、武漢ウイルスが猛威をふるい、社会に大きな影響を及ぼしています。映画のようにゾンビに殺されるとすぐにゾンビ化するのではなく、保菌者に自覚症状がない病気の恐ろしさは本当のホラーです。不要不急の外出を控えることは自衛のためでもありますが、近しい人々や、袖触れ合う人たちを感染させるリスクを軽減させることでもあります。 今朝の東京は、雪です。それも降っているだけではなく、積もっています。 「春の雪」は、三島由紀夫最後の作品となった「豊饒の海」4部作の第1部です。言葉や、描かれる情景の美しさに心奪われた作品です。あるインタビュー(新潮カセットブック「サーカス・大臣・旅の絵本」収録)で、三島さんは、 「体力のあるうちにうんと長い小説を書こうと思って、今、計画しているところです。(中略)所謂、世代から世代に移って行くような小説ではなくて、なんかそうではなくて長くなる方法はないか。それを長年考えてまいりました。とにかくおじいさんがどうした、おばあさんがどうした、お父さんがどうした、おかあさんがどうした、その子がどうしたという話であれば、いくらでも長くなりうるんですが、そうでなくて、世界を、大げさに言えば、世界を包摂するような長い小説を、体力の十分あるうちに書いてみたい。それが私のこれから書きます小説の非常に原始的なる企図でございます」 と話しておられました。「豊饒の海」は、正に彼の言う「世代から世代」とは異なる「線」の連続性をもって成立している、世界的にも比類のない名作であると思っています。 武漢ウイルスの猛威が収まるまでまだしばらくの時間がかかるものと想像しています。 どうぞ、健康第一でお過ごしください。 「又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」(豊饒の海、「春の雪」)


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  • 執筆者の写真Yoji Yoshizawa

ロチェスター大学・宗教学教授の友人は、大学時代のバンドのキーボードとヴォーカルでした。私たちは、ともに大学3年で「海外留学プログラム」を選択しました。「One-Year-Abroad」という制度では、事前に1年間の学習計画を提出し、母校の単位として認定の判断を仰ぐというものです。私の場合は、国際基督教大学への逆留学だったので比較的簡単に通りました。他の学友は、Peace Corpでアフリカへ行ったり、シェイクスピアの演劇を勉強するためにイギリスへ行ったりと、それぞれ興味のある領域での1年を選択していました。 前掲のロチェスター大のブルックス教授は、ネパールへサンスクリット語を習いに行っていました。ブルックス教授は、最近、バガヴぁッド・ギーターの翻訳を出版するなど、東洋宗教哲学の分野で活躍しています。 その彼が、武漢ウイルスのため外出を控えざるをえなくなった学生たちに向けて、ポシティブな姿勢で自宅に居るという話をしていました。そこに道元の「正法眼蔵」から得た着想を書くにあたって「Hikikomori」という言葉を使っていたのですね。 日本語ですと、他に隠遁、蟄居という言葉が広い意味での同義語としてあります。隠遁は世俗社会から自分を離すということです。蟄居は、もともと罰で、「命ぜられる」ものであります。ブルックス教授は、武漢ウイルスによって「強制的に自宅に居させられている」という意味で、蟄居がお気に入りでした。 さて、私の方ですが、家でおとなしくしています。風邪は薬で抑えられており、寝込んでいるのでもないので手持ち無沙汰を否めません。犬Boysの世話や、家事手伝いなどは普段と変わらずですが、空いている時間は、バリバリと創作活動に勤しむというほどには回復していないので、主として、練習と読書にあてています。 さらに、フラメンコの表現をより充実させるにはスペイン語を覚えるべきと思い立ち、「ゼロから学ぶ」的な書籍、そしてPimsleurの学習用CDセット(80時間分)を購入しました。女性形‣男性系や、動詞の語形変化は、ラテン語、フランス語を勉強したことがあるので違和感がありません。発音も中国語よりはやさしいです。問題は記憶力ですが、使う事によって劣化を止めることも出来るのではないかと楽観するようにしています。語学も新しいパラダイムの音楽を勉強するのと同じように捉えれば、蓄積してきた学習の方法論も活用できるでしょう。何についても言えることですが、才能や能力より、意志が重要です。 たいへんな苦労を強いられている方がとても多い時期だと思います。「希望を持ち続ける意志」の大切さを感じています。


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本日のライブ、無事終了いたしました。 今回、第一部では、オスカー・ワイルドの「幸福な王子」をテーマとして取り上げました。山川さんによる素晴らしい翻訳、朗読、そして随所に散りばめられたヴォーカリーゼからおおいにインスピレーションを得ることができ、二人での即興パフォーマンスはとても楽しめるものでした。 第二部では、ストーリーを排して、お互いが出す「音」をベースにした即興を3パターンほど演りました。 いつもながらですが、ご来場いただきました皆様には感謝しきりです。これからも山川さんとのDuoは進化させて行く予定ですので、よろしくお願いいたします。


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