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  • 執筆者の写真Yoji Yoshizawa

更新日:2021年11月8日

現地時間、4月14日、スティーヴン・キッスラー他による「Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period」という論文がサイエンス誌のサイトで公開されました。日本のニュースメディアも夕方のニュースで取り上げていましたが、2022年まで外出規制が必要になる可能性に言及しているものです。原文はこちら:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/14/science.abb5793 社会が麻痺しないようがんばっておられる方々には本当に頭が下がります。十分な自衛処置をお取りいただきたいところです。 外出自粛されている方々は、軟禁ストレス、キャビン・フィーバーのようなものを感じ始められているのではないでしょうか。私も不要不急以外の外出を一切しておらず、ボディブローのように精神的なダメージが蓄積してきている自覚があります。EddieやOzzieの介護や、他の家庭の事情もあり、前ブログにて言及した強制スマイルをフル稼働させていました。 武漢ウイルス禍の始まりから、語学学習を始めたことはお話しましたが、さらに読書・学習も増やしました。今日までで、数十冊読破、再読しました。生物学、生態学、数学、哲学、音楽、産業技術、エマージング市場、気象学、政治哲学、経済、金融工学、心理学、歴史など手当たり次第というところです。 また、ネット上のリソースを活用するようになってきました。Youtubeには多くのバーチャル塾があり、黒板やホワイトボードに書かれて行く文字を見ながら若い頃を思い出して楽しんでいます。 墨絵の渡邊ちょんとさんに先月教えていただいたのですが、小学館は学習まんが少年少女日本の歴史を無料公開しています。外で遊べないお子さんたちをお持ちの方々もおられるでしょう。こちらがURLです。 https://kids-km3.shogakukan.cojp/ 私も「源平」のあたりまではネットで読んでいたのですが、外部ディスプレイで見ても字が小さくて読めなくなってきました。そこで意を決して紙バージョンをオーダーし、さきほど届きました。 もちろん練習は続けています。問題は作編曲、作詞です。いいようのない不安が心の奥底にあってなかなか筆が進みません。しかし、昨日、そのような状態は「ウイルスに負けている」のだと気づき、闘志に火がつきました。武漢ウイルスにより強いられるモラトリアム打破です。 暗い気持ちでいてもウイルス禍はなくなってくれません。気持ちを切り替えて、お互いがんばりましょう。


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  • 執筆者の写真Yoji Yoshizawa

ルネッサンス期の作家、ボカッチオの代表作である「デカメロン」は、黒死病が蔓延するフィレンツェから郊外へ避難した10人の富裕者がひとり一話づつ語った物語です。 メメント・モーリというラテン語は「死を忘れるなかれ」という意味で、キリスト教下の中世ヨーロッパでは現世の儚さを説くと同時に地獄、煉獄、天国がこの世の生の終えた者を待っているという思想が強調されるようになりました。この世での身分など関係なく、等しく、人々に訪れる死は、Dance Macabre(死の舞踏)で視覚化されているさまざまな身分を表す着衣をまとった骸骨の行進で表されています。 暗い話題かもしれませんが、当たり前の事実として人間の共通するエンディングである死は、より一層、生き方について考えさせられるものです。また限られた時間しかないのであれば、今の時を大切にしなければならないと思わせます。 武漢ウイルス禍で気持ちが暗くなるのは不自然ではありません。しかし、それに押しつぶされるよりは、メメント・モーリを意識し、大切に今を生きるように思考をコントロールすることに意味があると信じています。 1988年にフリッツ・ストラック(Fritz Strack)とレナード・L・マーティン(Leonard L. Martin)の論文(”Inhibiting and Facilitating Conditions of the Human Smile: A Nonobtrusive Test of the Facial Feedback Hypothesis")に重要な実験が挙げられています。被験者はふたつのグループに分けられ、ひとつは鉛筆を口に咥えるように指示されます。鉛筆は消しゴムと筆先が左右に別れるようにします。もうひとつのグループは、前に飛び出るように咥えるよう指示されます。前者では口がスマイルした時のそれになり、後者は口をすぼめた形になります。 被験者たちはこの状態で、マンガを見せられ、面白く感じるか尋ねられます。口の形がスマイルの被験者たちは、口をすぼめていた被験者たちより、マンガを面白いと感じたという結果が出ました。 実験デザインが一番簡単に説明できる例を挙げただけで、同様の結果はジョン・バー(John Bargh)によるものなどさまざまなものがありますが、それらの実験が指し示すのは、自分の気持ちがどうであれ、スマイルすることにより、スマイルが出てくる心理状態を作り出すことが出来るという事です。チャーリー・チャップリンの「スマイル」はこの実験結果と同じことを言っているんですね:Smile, though your heart is aching...。 不安、怒り、フラストレーションに心を奪われやすい時期ですが、心で感じていることをそのまま表情に出してしまっては負のスパイラルに陥ってしまいます。 Smile!


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  • 執筆者の写真Yoji Yoshizawa

今月12日に風邪をひいて後、19日経ちました。その間、武漢ウイルスが猛威をふるい、社会に大きな影響を及ぼしています。映画のようにゾンビに殺されるとすぐにゾンビ化するのではなく、保菌者に自覚症状がない病気の恐ろしさは本当のホラーです。不要不急の外出を控えることは自衛のためでもありますが、近しい人々や、袖触れ合う人たちを感染させるリスクを軽減させることでもあります。 今朝の東京は、雪です。それも降っているだけではなく、積もっています。 「春の雪」は、三島由紀夫最後の作品となった「豊饒の海」4部作の第1部です。言葉や、描かれる情景の美しさに心奪われた作品です。あるインタビュー(新潮カセットブック「サーカス・大臣・旅の絵本」収録)で、三島さんは、 「体力のあるうちにうんと長い小説を書こうと思って、今、計画しているところです。(中略)所謂、世代から世代に移って行くような小説ではなくて、なんかそうではなくて長くなる方法はないか。それを長年考えてまいりました。とにかくおじいさんがどうした、おばあさんがどうした、お父さんがどうした、おかあさんがどうした、その子がどうしたという話であれば、いくらでも長くなりうるんですが、そうでなくて、世界を、大げさに言えば、世界を包摂するような長い小説を、体力の十分あるうちに書いてみたい。それが私のこれから書きます小説の非常に原始的なる企図でございます」 と話しておられました。「豊饒の海」は、正に彼の言う「世代から世代」とは異なる「線」の連続性をもって成立している、世界的にも比類のない名作であると思っています。 武漢ウイルスの猛威が収まるまでまだしばらくの時間がかかるものと想像しています。 どうぞ、健康第一でお過ごしください。 「又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」(豊饒の海、「春の雪」)


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